特別受益持ち戻し免除の意思表示は明確に!特別受益者を守れます。


特別受益とは

特別受益とは、共同相続人(※1)のなかでも特定の誰かが、被相続人(亡くなった人)から何らかの形で受け取っていた財産や利益のことです。
亡くなる前か、遺贈により受け取った財産が該当し、売買によって受け取ったものは含まれません。
具体的には、花嫁道具や新居など、婚姻・養子縁組のための贈与と、開業資金や住宅購入資金など生計を営むための贈与が特別受益に当てはまります。

特別受益者がいる場合、いざ相続が開始したときに共同相続人の間で不公平になることがあります。
被相続人が、遺産の分配について、具体的な遺言を残していない場合、全ての相続人によって協議され決定した遺産分割協議に基づき分配されます。
通常の計算通りに行えば、特別受益者が他の相続人よりも多くの利益を受けることになります。
これに不満をもつ相続人が現れ、もめごとに発展することもあるでしょう。

こうした問題を解消するために設けられたのが、「特別受益の持戻し」制度です。

特別受益の持戻しとは

被相続人が、公平さや各相続人の経済状況を考慮して、相続人全員分の遺産分割方法を遺言などで示している場合は、この制度は問題になりません。
被相続人の意思通りに分け合えば良いからです。

そうでない場合は、被相続人が相続開始時に有している財産の価額に、特別に贈与された財産の価額を加えたものを相続財産と見なすこととします(みなし相続財産)。
みなし相続財産から、法律に規定された計算方法に従って相続人がそれぞれ受け取る価額を出します。

その後、贈与の特別受益者が受け取ることとなる相続分から、被相続人から特別受益者が贈与された価額を差し引きます。

贈与の価額が算定された相続分より多い場合は、特別受益者が相続の際に受け取る財産はないということになります。

【「特別受益の持戻し」の具体例】

特別受益の持戻しについて、図を使ってわかりやすく説明します。

今回、3人の子どもを持つAさんが亡くなり、相続財産は3,000万でした。
妻はすでに亡くなっており、3人の子ども達でそれぞれ1,000万ずつ分けようとしましたが、長男はAさんが亡くなる前に開業資金として300万受け取っていました(特別受益)。
そこで平等に分けるために今回「特別受益の持戻し」が必要になりました。

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①まず、具体的相続分を算定するためのスタートとなる額を算出します。
これが「みなし相続財産」です。
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②次に、みなし相続財産3,300万円に対して、法定相続分による割合(相続できる割合)を算出します。
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③最後に、②で算出した額について特別受益を得た長男の分から特別受益分を差し引きます。 長男は300万円の贈与(特別受益)を受けていたので、1,100万円から300万円を差し引いた、800万円が具体的相続分となります。
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特別受益持戻しをしたくない場合の「特別受益の持戻し免除」とは

特別受益持戻しの制度は、一般的な公平さを考えての制度ですので、被相続人の意思にそぐわない場合もあるでしょう。

例えば、昔から身体が弱く、援助しなければ生活が成り立たなくなってしまう子どもがいる場合。
被相続人が親であれば、その子を助けたいと思うはず。
それを、共同相続人となる兄弟たちも理解してくれるだろうと考えるものです。

そのような場合は、被相続人の意思表示により、特別受益持戻しを免除することができます。
免除されれば、生前に贈与を受けた特別受益者でも、事前に受け取っていた財産に加えて、通常通りの相続分を受け取れます。

特別受益持戻し免除の意思表示をする際の注意点

持戻し免除の意思表示をする際は、注意事項があります。

生前に贈与した場合、特別受益持ち戻し免除の意思表示の仕方は明示的でも黙示的でもかまいません。
例えば、遺言で「既に長男に贈与した現金は、特別受益として扱わなくて良い」など具体的にその意思表示を明示すれば、はっきりと特別受益持ち戻し免除が認められます。
このようなはっきりとした明示がなくとも、長年連れ添ってきた妻へ感謝の意味を込め、老後の生活安定のために行った贈与などは、暗黙のうちに持ち戻し免除の意思表示をしたものと認められることがあります。
ただし、意思表示が黙示的な場合には判断基準が曖昧なため、被相続人と特別受益者との関係性、特別受益者の経済状況、生前贈与の内容や価格などが裁判所の判断基準となります。

また遺贈の場合は、遺贈することだけではなく、特別受益持ち戻し免除の意思表示も遺言で明確にしなければなりません。


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