必要な情報の取り出しに「パスワードの壁」

2019年2月14日

 故人のパソコンやスマートフォンなどのデバイスに残されたデータ(デジタル遺品)を取り出し、整理することを「デジタル遺品整理」といいます。パソコンやスマホは、通常、個々人のアカウントで管理されていますが、それゆえに本人しか知らない情報が残されており、かつ、パスワードで保護されているケースが大半です。デジタル遺品整理では、パスワードの解除や記録媒体への直接のアクセスを通じて、これらのデータを取り出していきます。

 デジタル遺品は、「心の資産」と「モノの資産」に分けられます。

 まず、「心の資産」。思い出の写真や動画はもちろん、故人の交友関係や生前の心境の軌跡を把握する手がかりとなるメールやLINEの履歴、アドレス帳データやSNSのアカウント情報などが該当します。以下は実際に当社にご相談のあったケースです。

 ①葬儀で遺影として使いたい写真データがパソコンの中にあるが、パスワードが分からず取り出せない。

 ②父の告別式の招待をしなければならないが、スマートフォンのパスワードが解除できず、仕事上のお付き合いの方の連絡先が分からない。

 ③息子が自殺してしまった。死の直前、誰かとLINEしていたようだったが、それが引き金となったのかどうか確認したい。

 前記①②のような葬儀を円滑に進めるための情報の取り出しは、時間的制約があるだけに急を要します。一昔前までは、①は現像された写真の引き伸ばし、②は故人の手帳などの確認により、簡単に解決できたかもしれませんが、データ保存の電子化が進んだ昨今、必要な情報の取り出しに「パスワードの壁」が立ちはだかるケースが増えているのです。

 次に「モノの資産」。こちらは相続手続きの局面で、重要となります。

 例えばビットコインなどの仮想通貨や、FXや株取引などのネット証券口座など、ペーパーレス化が進んだ現代では紙の情報がまったくないものも珍しくありません。こうしたオンライン上の金融資産については、できるだけ早急に調査する必要があります。亡くなってからの相場変動で損失が出た場合、その遺族に追加証拠金の支払いが求められるケースも存在します。また、調査がなされないまま相続手続きが進んでしまった場合、相続税の申告漏れが発生する可能性もあります。

 パソコンやスマホを使いこなすシニアの増加に伴い、亡くなった後、そこに残されたデータが取り出せないというトラブルは今後とも増えてくるでしょう。そこで、せめてスマホやパソコンのパスワードだけでもエンディングノートなどに残し、家族が把握できるようにしておきましょう。そうすれば、その後のデジタル遺品の調査は非常にやりやすくなります。こうした「デジタル終活」が今後ますます重要になってくると思います。
(ミチノリ)


シニアライフよろず相談室
編集部

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