家族による家族のための財産管理・承継制度

2019年3月7日

 家族信託(チェスナット司法書士法人)

 超高齢社会の進展により、認知症高齢者の人数がますます増えていくことが確実視されています。内閣府の推計によれば、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となる2025年には、認知症高齢者数は約700万人に達するとされています。

 認知症になると、判断能力(物事のメリット・デメリットを理解する力)が低下・喪失した状態になり、法律上、自分の財産を管理・処分することができなくなってしまいます(=財産の凍結)。例えば、預貯金の引き出し、定期預金の解約、自宅の売却などを行うことが自分ではできなくなってしまうのです。たとえ子供であっても、認知症になった親の財産を代わりに管理したり処分することは原則としてできません。

 認知症などにより判断能力が低下してしまった場合、事前に対策を講じていなければ、「成年後見制度」を利用するほかありません。成年後見制度とは、家庭裁判所が選んだ後見人が、認知症などで判断能力が不十分となった人の財産管理などを代わりに行う制度です。

 成年後見制度は、本人の財産を守ることができるというメリットがある一方で、全財産が裁判所の監督下に置かれ柔軟な財産管理・活用が難しくなる、後見人として弁護士や司法書士などの専門家が選ばれるといった可能性があり、その専門家に対する報酬が生涯にわたって発生するなどのデメリットも指摘されています。

 そこで近年、「家族信託」の利用が急増しています。家族信託とは、不動産やお金などの財産の管理や承継を信頼できる家族に託す制度です。「信託」と聞くと、どうしても信託銀行や投資信託などを連想すると思いますが、家族信託は金融機関で行うものではなく、「家族」で行うものです(「家族」を「信」じて「託」す)。言い換えれば、家族による家族のための財産管理・承継制度といえます。家族信託の利用にあたっては、司法書士や弁護士などの専門家に相談するのが一般的です。

 家族信託では、財産の管理を託す人を「委託者」(いたくしゃ)、財産の管理を託される人を「受託者」(じゅたくしゃ)、信託から利益を受ける人を「受益者」(じゅえきしゃ)といいます。例えば、高齢の親(委託者)が、自らを受益者として、子供(受託者)に財産管理を託すケースが家族信託では最も多いケースです。元気なうちに家族信託を利用して子供に財産管理を託しておくことで、親が認知症などで判断能力を失った後でも、子供が受託者として財産の管理をすることができます。

 家族の財産を、家族で守り、次世代へ承継する。これを機に、家族で専門家へご相談されてはいかがでしょうか。

(チェスナット司法書士法人)


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