判断能力衰えた人の財産管理などのサポート

2019年2月21日

 成年後見制度

 認知症を発症すると、判断能力(契約など法律行為を行うために必要となる物事のメリット・デメリットを判断する能力)が損なわれます。判断能力が十分でない状態で行った行為は原則無効となるため、さまざまな契約行為や権利の行使など、今まで自らの意思で自由にできていたことが、単独ではできなくなってしまいます。

 「成年後見制度」とは、判断能力が不十分な人を法律面や生活面でサポートする制度です。後見人は、「財産管理(預金通帳や印鑑の管理、毎月の入出金の管理、不動産の管理・処分など)」、「身上監護(老人ホーム・介護施設への入所手続き、入院・医療費の支払い手続きなど)」の両面から、被後見人をサポートしていくこととなります。

 成年後見制度は、「法定後見制度」と「任意後見制度」に大きく分けられます。

 法定後見制度は「民法による後見制度」と言えます。すでに判断能力が衰えている状態の人のために、家庭裁判所に申し立てを行い、後見人を選任してもらいます(判断能力の段階に応じ、後見・保佐・補助の3類型あり)。申し立てができる人は本人のほか、配偶者、四親等内の親族、市町村長などに限られます。

 法定後見の申し立て時に提出する書類には、後見人の候補者を書く欄があります。子供などの親族の名前を書いておけば、その親族が当然選ばれるだろうと思われるかもしれませんが、そう単純ではありません。本人の財産が一定以上の額である場合、トラブルが予見される場合などは、親族による後見を希望しても司法書士や弁護士など親族以外の第三者が選任されることが多いのです。

 実は親族が後見人に選任されているケースは、全体の3割に満たない状況です。背景には、親族後見人による財産の横領が絶えないという残念な事実があります。

 任意後見制度は「契約による後見制度」と言えます。本人の判断能力があるうちに信頼できる後見人を選んでおき、将来、判断能力が衰えてきた場合、法律面や生活面でのさまざまな支援が受けられるよう、あらかじめ契約(任意後見契約)しておくというものです。

 法定後見と異なり、後見人を誰にするかは自由に決めることができます。後見事務の内容や報酬も自由に決められます。認知症などで将来的に自分の判断能力が衰えるかどうかということは、現時点ではわかりません。任意後見制度は、将来発生し得る認知症リスクに元気なうちから備えておこうというもので、生命保険にも似たその性質から「脳(あたま)の保険」と呼ばれることもあります。来週は任意後見制度について、もう少し詳しく説明します。

(勝司法書士法人)



勝司法書士法人

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